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「榊」という名前になじみはなくとも、「神棚に飾ってある深緑の葉」といえば、イメージが湧くでしょう。神事に用いられる榊は、神聖な植物です。まずは榊の特徴や役割についてご紹介します。

ツバキ科の常緑樹である榊には、「本榊」と「ヒサカキ」の2種類が存在していて、本榊は関東以西に自生していることが多く、関東以北では育ちにくいという特徴があります。そのため関東以北では、本榊よりも寒さに強いヒサカキが一般的です。どちらが良いということはなく、地方によっては「ツバキ」や「山茶花」が榊として用いられていることもあるそうです。

榊は葉の部分が注目されがちですが、6月頃に小さな白いお花を咲かせます。また、11月頃には黒い実が生り、見る人を楽しませてくれます。身近な場所に自生している榊を見つけたらぜひ観察してみてください。

漢字を見るとわかるように、「木」と「神」を組み合わせた榊は、神様と繋がりのある縁起の良い植物です。そもそも「さかき」という読み方は、常に青々と生い茂っている様子から「栄木（さかえるき）」と呼ばれたことが由来だといわれています。また、神様と人との境界を示すという意味を持つことから、「境木（さかいのき）」と呼ばれたことが由来だともいわれているのです。

榊には『神を尊ぶ』という花言葉に加えて、『控えめな美点』や『揺るがない』という花言葉があります。目標を持って頑張る場合、成功を祈る時に神棚の榊に手を合わせると良いでしょう。

神道には、「尖ったものに神力が宿る」という考えがあります。そのため、神様が降り立つ依り代として、葉の先端が尖った榊を神棚にお供えする風習が生まれたのです。神棚に欠かせない榊ですが、結婚式やお祓いといった神事に用いられたり、最近はお花と組み合わせて仏花（お墓や仏壇にお供えするお花）として用いられたりもしています。

神棚や仏壇に飾る榊は、神道や仏教では造花も認められています。神様や故人を想う気持ちがなによりも大事だといわれているので、造花でも気にせずにしっかりと祈りを捧げましょう。

「せっかくの榊を長く楽しみたい」、「神様や故人のために、より生花に近い榊を選びたい」という人にはプリザーブドタイプの榊がおすすめです。

生花に特殊な加工を施したプリザーブド榊は、生花の質感を残しながらも、造花のように手入れが楽です。また、きちんと手入れをすれば、数年間美しい姿をキープできます。大きさやボリュームによって異なりますが、数千円で購入できるため、頻繁に生花を買い替えるよりも費用を節約できるでしょう。同じプリザーブドタイプのお花と組み合わせてアレンジすることも可能です。

プリザーブド榊の原料は生の葉ですが、水やりをする必要はありません。湿ると傷む原因になるので、霧吹きで水を吹きかけることも禁止です。葉に付着したホコリが気になるという場合には、ハケやチークブラシといった毛先が柔らかいアイテムを使って、優しく払い除けましょう。

プリザーブド榊を長持ちさせるには、飾る場所の環境を整える必要があります。直射日光が当たると葉が色あせてしまうので、注意しましょう。また、乾燥が進むと葉が傷んでしまいます。エアコンや扇風機を使用する場合は、風が直接当たらないように注意してください。

特殊な薬剤を含むプリザーブド榊は、衣服やカーテンといった布アイテムに触れると、色移りしてしまうことがあります。一度色移りすると簡単には落とせないのでプリザーブド榊を飾る際には布アイテムから離して設置するようご注意ください。